今、FTLDとALSがおもしろい2009/11/28 21:30:47


これは、最新のALSの既知の遺伝子の表です。どんどん書き換えられて、2006年からずっと熱くなっています。TDP-43をこえて、FUS/TLSという新発見が2009年をにぎわし、RNA代謝がこのALSの変性に重要な役割をもつことが知られるようになった。(Philip Van damme et al .Curr Opin Neurol 22:486-492,2009)

ALS-FTDの遺伝子もこの表によれば3つまで知られ、遺伝子の確定が望まれる。両者を結びつけるものは何かということですが。

2009年11月号のBrain and Nerveは前頭側頭葉変性症の特集です。2年前のALS特集号からの進歩が記されています。その内容より、最新の話がその編集後記にみられます。<今、FTLDとALSが面白い>とその出だしに書いてありました。まさに本当です。本文の記事より先をいく論文がどんどんでているようです。FTLDの亜型に位置するNIFIDなどでFUS陽性となる疾患群が発見され、FTLD-TDP43の他にFTLD-FUSの存在が示された(Manuela Neumann et al. A new subtype of frontotemporal lobar degeneration with FUS pathology. Brain 132:2922-2931,2009)。

まさにFTLDとALSの病因解明にまったく新しい概念、物質が登場。この先いったいどうなっていくのでしょうか!

田舎で暮らしていたって、最新文献はネットですぐに手にはいりますので、あとはほんとにやる気の問題ですね。




Beyond TDP-43 32009/08/05 07:35:54

FEBS Letters

Volume 583, Issue 14, Pages 2419-2424 (21 July 2009)

Methylene blue and dimebon inhibit aggregation of TDP-43 in cellular models

Makiko Yamashita, Takashi Nonaka, Tetsuaki Arai, Fuyuki Kametani, Vladimir L. Buchman, Natalia Ninkin, Sergey O. Bachurin, Haruhiko Akiyama, Michel Goedert, Masato Hasegawa

Abstract

Amyotrophic lateral sclerosis (ALS) and frontotemporal lobar degeneration with ubiquitinated inclusions (FTLD-U) are major neurodegenerative diseases with TDP-43 pathology. Here we investigated the effects of methylene blue (MB) and dimebon, two compounds that have been reported to be beneficial in phase II clinical trials of Alzheimer’s disease (AD), on the formation of TDP-43 aggregates in SH-SY5Y cells. Following treatment with 0.05μMMB or 5μM dimebon, the number of TDP-43 aggregates was reduced by 50% and 45%, respectively. The combined use of MB and dimebon resulted in a 80% reduction in the number.
These findings were confirmed by immunoblot analysis. The results indicate that MB and dimebon may be useful for the treatment of ALS, FTLD-U and other TDP-43
proteinopathies.

dimebonというのはおもしろい物質です。抗ヒスタミン剤かとおもったら、一時話題になったNMDA antagonistであり、ロシアでアルツハイマーにきく薬として研究されていたようです。安い抗アルツハイマー薬が必要だったのでしょう。これが、TDP-43発見のグループによって、ALS治療薬として登場してきました。メチレンブルーも同様に研究されているもののようですが、これを患者様にのませるわけにはいかないでしょう。ラジカットにphase 3の研究がどのような結果になっているのかわかりませんが、ききそうな薬は、できるだけ早く調べて、少しでも早く治療薬としてほしいものです。しかし、ALSのhistoryは個人差が非常に激しく、おまけに症例数もきわめて限られていますので、有意な所見はなかなか得られないでしょう。手がかりはあっても、原因はまったくわからない疾患の治療はもちろん難しい。

Beyond TDP-43 22009/07/16 11:28:58

Journal of Neurology 2009
Amyotrophic lateral sclerosis, frontotemporal dementia and beyond: the TDP-43 diseases
Felix Geser, Maria Martinez-Lage, Linda K. Kwong, Virginia M.-Y. Lee and John Q. Trojanowski

前回記事の最新版review。

TDP-43が主要な役割を担う疾患(major TDP-43 disease)TDP-43 multisystem disease 
・認知症を伴うかまたは伴わないALS、FTLD-MND、ユビキチン陽性でtauやαシヌクレイン陰性の封入体を伴うFTLD
・封入体筋炎と骨Paget病を伴うFTLD(IBMPFD)
・Perry症候群
副次的にTDP-43の病理を認める疾患(Disease with secondary TDP-43 pathology)その他の蛋白蓄積を認める
・地域集積性とみとめるパーキンソニズム認知症複合/ALS
・アルツハイマー病/海馬硬化症
・ピック病
・皮質基底核変性症
・嗜銀顆粒性疾患(Argyrophilic grain disease)
・パーキンソン病、レヴィー小体型認知症、パーキンソン病+認知症
・ハンチントン病
・筋症(封入体筋炎、眼球咽頭筋ジストロフィー、Rimmed vacuole型遠位型ミオパチー、ミトコンドリアの病理を伴う多発筋炎、多発筋炎)
TDP-43の病理を軽度伴うか全く伴わない疾患
・SOD1関連ALS
・原発性側索硬化症
・TDP-43陰性でユビキチン陽性封入体を伴うFTLD
・Charged multivesicular body protein 2B(CHMP2B)関連FTLD
・進行性核上性麻痺(PSP)
・多系統萎縮症
・好塩基性封入体病/好塩基性封入体を伴うMND
・神経中間フィラメント封入体病
・神経原線維変化を伴う老年認知症(tangle only demenita)
・Hereditary diffuse leukoencephalopathy with spheroids
・プリオン病
・統合失調病
・正常な加齢変化
・酸素欠乏/悪性新生物
・研究されていない他の疾患

TDP-43だけでこれだけの疾患が関連している。FTLDとALSの共通のものと考えられたTDP-43とはことなる共通項、特に遺伝子をみつけないといけない。場所はわかる(9p or q)が物質はまだわかっていない。だれがみつけるか?!

Beyond TDP-432009/03/28 13:23:35

NatureとCellに重要な解説記事がのってます。


Kristel Sleegers & Christine Van Broeckhoven
Nature 458, 415-417 (26 March 2009) | doi:10.1038/458415a; Published online 25 March 2009
Motor-neuron disease: Rogue gene in the family

Clotilde Lagier-Tourenne andDon W. Cleveland
Cell, Volume 136, Issue 6, 1001-1004, 20 March 2009
Rethinking ALS: The FUS about TDP-43

いずれも2月にScienceにでたALSの新たな原因遺伝子の発見をふまえてのものです。第16染色体のsarcoma/translated in liposarcoma(FUS/TLS) geneというきいたことない遺伝子ですが、この遺伝子は、TDP-43と同じくDNA/RNA binding proteinで核蛋白代謝というまったく基本的知識のない機能に関係する物質である。これから類推すると、ALSの病因には、核RNA代謝の異常が考えられ、他の既知の遺伝子たとえばELP3など検索の必要があるとのこと。ここからまた無数の研究がでてきそうだ。傍観者としても眼がはなせません。

臨床では、核蛋白代謝なんて無縁であったが、RNAに関する基本を学習する必要がでてきた。

TDP-43その後2009/01/07 20:35:35

ALSに見られるユビキチン封入体の含まれるTDP-43に関係する蛋白としてperipherinとubiquilin 1がある。この構造物の内容構成は依然謎である。TDP-43はいろいろな変性疾患で、陽性所見が得られて、それが原因ではないという意見もある。SOD1のALSにはなく、孤発性で陽性なためspecificと思われていたが、最新の大阪大学の論文ではSOD1のALDでも出現することを報告していて,TDP-43は反応性にでてきて、むしろ神経細胞にprotectiveなものではないかといっている。

Sumi H et al: Nuclear TAR DNA binding protein 43 expression in spinal cord neurons correlates with the clinical course in amyotrophic lateral sclerosis. J Neuropathol Exp Neurol, 68:37-47,2009

FTLD-ALSの原因遺伝子は9pにあることが知られているが、確定された遺伝子はまだなく、その領域にある100位の遺伝子が検討されているらしい。その領域にある蛋白としてIFT74, ubiquilin1などがあるが、まず疾患特異的な蛋白を突き止めることが重要であるが依然謎であるようだ。しかしFTLD-ALSといえない普通の孤発性ALSでも、最終的にFTLDになる症例がいると思われるので、本当に両者の関係は深そうだ。

前頭側頭痴呆2008/08/18 17:11:53

仕事を変わったとき、痴呆疾患についても専門診療を行おうと思い、アルツハイマー病について学習するのはもちろんのこと話題の前頭側頭痴呆についても学習し、実例を発見したいと思った。
1) Clinical Neuroscience 2005年3月号
の特集は有用であった。さらに購読をはじめたLancet Neurology誌のreviewも目をとおした。
2)Neary D, Snowden J, Mann D : Frontotemporal dementia, Lancet Neurol 4:771-780, 2005
ところが驚いたのは、偶然主治医になったALS患者30人近くの人をみているうち、その疾患にFTDが非常に関係があり、ほとんど同じ病気であることを知った時(本当か?)で、そのCTをとってみたら多くが、前頭側頭葉の萎縮が著明であることであった。そして、最新のreviewを読んでみた。
3)Kumar-Singh S, Van Broeckhoven C : Frontotemporal lobar degeneration: current concepts in the light of recent advances. Brain Pathol 17:104-113, 2007
4)Tolnay M, Frank S : Pathology and genetics of frontotemporal lobar degeneration : an update. Clin Neuropathol 26:143-156, 2007
5)Josephs KA : Frontotemporal dementia and related disorders: deciphering the enigma. Ann Neurol 64:4-14, 2008
6)Bigio EH : Update on recent molecular and genetic advances in frontotemporal lobar degeneration. J Neuropathol Exp Neurol 67:635-648, 2008
7) Acta Neuropathologica 2007年7月号 frontotemporal dementia特集
8)Acta Neuropathologica 2008年8月号 TDP-43特集

臨床例の病理診断がきわめて重要であることがわかる。ALSの方がなくなっても、剖検もしていなかったが、これはした方がいいと思い直した。自験例は多数あり。しないと何もわからない。

TDP-43と筋萎縮性側索硬化症2008/07/21 18:03:40

ALSを発生する新しい遺伝子の発見は、過去のねずみの研究を無に帰し、世の中は真っ青になって、TDP-43蛋白について研究を進めているはずだ。ほんのちょっとまえの研究なんてそれはいったい何だったのという状況ではないでしょうか。今はあらゆる手持ちの技術でTDP-43を追いかけていることでしょう。この発見には地道な日本を含む病理学者の剖検の積み重ねによるところが大きい。前頭側頭痴呆の自験例がほしいなと思いながら、わたしは症例をみていましたが、目の前にいました。ほんとうに驚きです。この驚きは職場を変わらなければ経験できなかったことです。SOD遺伝子が関係するのはALS全体のたかだか2%ですが、大部分の孤発性ALSの原因究明に大きく近ずいたようです。どうやらALSも運動系だけの病気でなく、脳全体躰全体の病気と考えていいのではないでしょうか。

Parkinson病22008/05/21 11:54:55

Connie Marras, MD, PhD and Anthony Lang, MD
NEUROLOGY 2008;70:1996-2003
Special Article
Invited Article: Changing concepts in Parkinson disease
Moving beyond the Decade of the Brain

2号続けてParkinsonの特集。
Abstract
Recent years have seen major changes in our understanding of Parkinson disease (PD), challenging conventional wisdom, much of which was established during the Decade of the Brain. In this article, we highlight important changes in our understanding of PD in six general categories: definition, etiology, pathology, pathogenesis, clinical features, and therapeutics.

今回順番がParkinsonの番になって学習しているだけですが、教科書を完全にかきかえないといけない状況になっています。特にParkinsonになっていない段階のParkinsonがいるというのは驚きです。完成したParkinsonを多くみる機会がありますが、ただ消耗しているわけではないのですね。

パーキンソン病2008/05/18 18:27:06

Heiko Braak, MD and Kelly Del Tredici, MD, PhD
NEUROLOGY 2008;70:1916-1925
Special Articles
Invited Article: Nervous system pathology in sporadic Parkinson disease

Parkinson病で、Braak仮説というのがきわめてhotな話題になっています。これはそのBraak自身によるreview最新版。必読。医学のあゆみの
225巻5号
ここまでわかったパーキンソン病研究
5月第1土曜特集
も購入して参考にしていますが、驚きの記述の山。Acta Neuropathologicaの最新のParkinson特集号をラッキーにもonline版を全部downしてありますが、これがこのBraak仮説の検討でした。全部を熟読するのは時間がかかりそうです。ALSといい、Parkinsonといい、遺伝子でなく病理学から病気の本態へアプローチできるのはすばらしいことです。シヌクレイノパチーsynucleinopathyとよく聞く名前について興味を持って学習していればわかる問題でした。

パーキンソン病も昔習った教科書的記述とはずいぶん違った病気のようです。脳外科のパーキンソンの症状をとる手術、治療がありますが、それはその場限りで病気の進行とは何の関係もない。これも全身病だ。

Minocycline in ALS2007/11/20 17:31:51

Lancet Neurology 2007; 6:1045-1053


Efficacy of minocycline in patients with amyotrophic lateral sclerosis: a phase III randomised trial

Paul H Gordon MD a , Dan H Moore PhD d, Robert G Miller MD c, Julaine M Florence DPT g, Joseph L Verheijde PhD e, Carolyn Doorish BA a, Joan F Hilton ScD f, G Mark Spitalny MA c, Robert B MacArthur PhD b, Hiroshi Mitsumoto MD a, Hans E Neville MD h, Kevin Boylan MD i, Tahseen Mozaffar MD j, Jerry M Belsh MD k, John Ravits MD l, Richard S Bedlack MD m, Michael C Graves MD n, Leo F McCluskey MD o, Richard J Barohn MD p and Rup Tandan MD q, for the Western ALS Study Group

ミノマイシンは,脳梗塞には有効ですが、ALSには害になるそうです。長期に抗生物質のませたらどうなるかは、やる前からわかりそうなものですが。論文の主旨ははっきりしています。minocycline, phase3, 無効どころか有害だそうです。

ちなみに来年にそなえて、Lancet Neurologyを購読開始しました。21世紀以降、学習したテーマでも結構重要な論文を知っていますので、まずそれをdownいたしました。
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